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43号その他の記事

◆古川柳かづみ読み(18)「目も耳もただだが…」徳道かづみ

  聞いたかと問はれ食つたかと答え
(山口)素堂の句を踏まえた一句。聞くのはホトトギス、食べるのは初鰹のことですね。知らない人にはなんのこっちゃというやりとりですが、小粋な会話です。

  井戸端で見せびらかして刺身をし
 買ったあとは、調理して食べるだけ。無理して買ったのだから、と得意満面に自慢している姿が微笑ましいですね。

  恥ずかしさ医者に鰹の値が知れる
 痛んだ鰹、すなわち安い鰹を食べてお腹を壊したのでしょう。見栄を張るなら、きっちり張らないといけないです。うん。

*江戸古川柳を「かづみ流」に読んで解説する好評連載、「かづみ読み」。今回のテーマは「初鰹」。川柳を読みながら、江戸の庶民の暮らしを味わいましょう。


◆小児科の窓から(7)「救急室」平尾正人

…夜間に救急受診する人の事情は様々で、昼間は仕事で忙しいので夜間に来る人、夜なら待ち時間が少ないからという勝手な理由で来る人もある。特にインフルエンザの流行期、年末年始、ゴールデンウィークなどは待ち時間が二時間以上になることもあり、深夜二時頃の病院の玄関の方が、道路を隔てて病院の前にあるコンビニよりにぎわっている事も多い。(後略)

*現役ドクターとして小児科に勤務する正人さん。お忙しい中、様々な人間模様を切り取って、正人さんのエッセイや川柳が産まれます。

ほかにもたくさんエッセイや読み物があります。
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43号作家紹介・新井恵子

◆新井恵子五十句「三月生まれ」 より抜粋

摑みたいものちぐはぐな左右の手
風に指立てさびしき指を招き寄す
鍵穴からだんだん洩れてゆく私
ふるさとが匂う手のひら足のうら
それぞれの鍵をさし込む午後六時
夕暮れの人の匂いが戻る道
美しい動物たらん歯を磨く
パソコンの中で記号化する未来
好きという言葉が水であったころ
したたかな女で行こう二の腕よ

◆新井恵子五十句「三月生まれ」を読む 渡辺美輪 より

 新井恵子さんの作品には、難しい言葉はほとんど出てこない。どこにでもある、日常的に見かけるもの。どこにでもいる「わたし」と「あなた」。時折、何でもない日常から不意に非日常に連れ出され、ハッとさせられる。(中略)

影が影誘う真昼の交差点
 この句のイメージは夏。降り注ぐ太陽の下、人が車が行き交う真昼の交差点。信号が変わると一斉に動き出す人、人、人。ふと目を落とすと、地面にはくっきりと黒い影。あなたの影が私の影を誘っている。「影が影誘う」という表現に、妖しい不安を覚える句だ。(後略)

◆新井恵子さんインタビュー

●恵子さんはどんな思いを作品にされているのでしょう?

 川柳について考えることは、川柳は普段の日常からうまれるうた、だから妄想というか頭の中だけというか、言葉遊びでは作らないようにしよう、ということです。言葉遊びのように作っても、言葉に重力がないというか、何かふわふわと落ち着かない句に仕上がるように感じます。素朴な作り方でも実感がこもっているものは句として強いと思う。(後略)

*毎回、会員誌友の中から「この人に会いたい」という人にフォーカスしてご紹介する作家紹介。自選50句、作品鑑賞、インタビューにより、たっぷりページを割いて川柳作家の素顔をご紹介いたします。



43号「群舞」より

雑草をとるいちねんが始まってゆく  滋賀 安井茂樹
笑わないことで返事といたします   長野 宮本草子
銀紙に包まれている忘れもの    兵庫 中川 浩
雨上がり傘は泣いたり笑ったり   鳥取 平尾正人
心療内科で浮いているサザエさん 大阪 小林康浩
一向に止まぬ悪口木の芽時    香川 丸本うらら
仲直りするたび海が荒れていく   兵庫 前田邦子
春の風八十歳の夢を見る      兵庫 北井宏江
話題減る口数が減る命減る    山口 富田房成
美ら海をみんなこころに持っている 大阪 田中日出夫
たくさんの蕾 未来の本音です    広島 一橋悠実
千回の「痛い」を吐いてやっと春    兵庫 野口多可

ほか 会員・誌友79名

*「群舞」は、会員・誌友各自の投句(5句まで)から、選者(夕 凪子)の選により選び抜かれた作品を掲載。
選後評も併せて掲載しています。

43号「群像」より

 東京 金子喜代
語尾跳ねるまた恋をしているらしい
お似合いですねと鏡に煽てられている
歯を磨くまだやわらかき頬の肉
粉ぐすり無言でやって来る別れ
三日月の不実を今日も責めている

 大阪 久保田 紺
表紙から三ページ目で解いてある
のりしろは狭くやり直しやすく
深海で光るだあれもいないのに
知りたくて知りたくなくて掻き混ぜる
撮ってから泣いているのに気がついた

 滋賀 安井茂樹
ほらさくらさくらさくらとつぶやけば
さくら色の君も私もあの頃の
さくらの話ですふるさとの話です
散ってゆくどうもお疲れ様でした
あとはもう桜吹雪になっている

 青森 梅田 旬
逢いにゆく同じ話を聞きにゆく
地雷原踏まないように居間を掃く
言い分はどちらにもあるマルシカク
霜焼けの痒さが告げる冬仕舞い
戻り雪これで最後と言いなさい

 大阪 小原由佳
簡単な操作で人がいなくなる
人生に白髪を抜くという時間
ゆらゆらと春を仕込んでいる手紙
良かったわ水溶性の愚痴だから
皆いなくなって桜が浮かぶ池

 神奈川 近藤良樹
義理があり避けて通れぬぬかる道
ザクロの実古傷に似て不快なり
無音なり蟻這う先もその先も
しみじみと鏡の耳に父を見る
南風 男は泣かぬものと知れ

ほか 会員53名


*「群像」は、会員自選作品のコーナーです。毎回、各会員が自選5句を発表しています。

43号前号秀句十選

前号秀句十選   近藤ゆかり選

近くしか見えなくなってきたキリン  門田 浩
五十年いまだに不協和音雛     小西松甫
書き過ぎず書き漏らさずに書くハガキ 金子喜代
マフラーの数だけの恋 過去箪笥   杉山昌善
定年でGパン五本買った友       門前喜康
行儀よくいわし並んで缶の中     穴原明司
どんぐりの決意大きな森を描く    石田一郎
大阪のおばちゃんになり試食する  杉浦まりこ
百枚の賀状に埋まる世捨て人    髙橋兎さ子
二十年経っても胸にある更地    渡辺美輪

前号秀句十選  富田房成選

無口になった 芽生える頃らしい    川本 畔
たまらんなこの早春の解放感      門田 浩
持ち上げてあげましょ落とす高さまで 久保田 紺
お願いです早く私を手放して      小川敦子
いいねいいねしあわせそうでえらそうで  夕 凪子
しがらみは捨てる破魔矢は取り替える   津村 華
二十年経っても胸にある更地       渡辺美輪
写真にはただの二人として写る     小原由佳
人類を守って鳴くか雨蛙          杉山昌善
病院の窓にそれぞれ射す光       金子喜代

前号秀句十選   新井恵子選

この男危険の札を剥がされる     石垣 健
切り取った余白ご試食をどうぞ   久保田 紺
足音が消えた一人の交差点    中川 浩
緩んだら切る筈でした縦の糸    岡部房子
無口になった 芽生える頃らしい  川本 畔
気がつけば私ひとりの舟をこぐ   流郷貞子
行儀良くいわし並んで缶の中    穴原明司
雪どけの頃傷口から強くなる    田村 尋
横切った箱は等身大だった    石田一郎
人が人を殺す どこでもお湯が出て 夕 凪子

前号秀句十選  中川千都子選

二十年経っても胸にある更地    渡辺美輪
土寄せる私にできることがある   安井茂樹
本当に飲みたかったのは水だ    中川 浩
この男危険の札を剥がされる    石垣 健
持ち上げてあげましょ落とす高さまで 久保田 紺
写真にはただの二人として写る   小原由佳
九十四どこから来たと父が訊く    加島 修
ワケアリと書かれ安売りされている 岡部房子
人が人を殺す どこでもお湯が出て 夕 凪子
前世も後世もなくただ蚯蚓       杉山昌善

前号秀句十選 中野文擴選

出るものは出るにまかせる まず涙   門田 浩
会えば多分ほろりほろりとしてしまう   金子喜代
鬱もありました癌にもなりました     安井茂樹
あの日まであるはずだった予定表   平尾正人
マフラーの数だけの恋 過去箪笥   杉山昌善
わたし私ワタシそれぞれの時間    鈴木厚子
ゆっくり歩こうアナログ時計買う     門前喜康
もう一度君に逢えそな途中下車    松本光江
雑踏の中に葬る思慕の山       芳野寛子
傷痕がかすかに残るくすりゆび    道家えい子

*「前号秀句十選」は、前号掲載の会員自選作品「群像」から毎回5人の選者が各10句を選び、短いコメントと共にその句を鑑賞するコーナーです。5人の選者の選とコメントの個性をお楽しみください。

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