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45号その他の記事

◆「戦後七十年川柳」より

昭和にはとれたボタンがひとつある  前田邦子
玉音放送大人が泣いた暑い夏  宇田ミドリ
叔父の戦死認めないままだった祖母 杉浦まりこ
学徒動員 十五歳の母のおさげ髪 金子喜代
「ケンポーってなあに」聞く児の掌にはさくら貝 下山田靖子
戦争は平和のためと国は言う 森 孝夫
戦争を知らぬ子のまま中年に  渡辺美輪
一本の鉛筆で消すエノラ・ゲイ  小林康浩
民の声振り切り暴走する戦車   広瀬鮎美
ふまれても穂は豊かなりゲンの麦 茉莉亜まり
七十年 ああ悲しみよこんにちは  中野文擴
七十年の平和 七十年後も平和  夕 凪子

*戦後70年の節目の年。戦争を知る世代も知らない世代も、それぞれの想いを川柳に。

足すことも引くこともなく茄子の花  安井茂樹
・茄子の花ほど誠実で一つの違いもなくまっすぐな花はない。茂樹さんならではの誠実な句。(別所花梨)

窓という窓開け放つ守備に就く   丸本うらら
・正に女は度胸であって、かかってきなさいと窓を開け放つ心意気に惚れ惚れする。そして勝負は先手必勝、準備万端の陣地で迎え撃てば、勝利は間違いないのだ。(佐渡真紀子)

*44号掲載の第五回川柳大会から、「私のこの一句」を会員・誌友のみなさんが自由に鑑賞。


ほかにもたくさんのエッセイや読み物があります。
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45号作家紹介・徳道かづみ

◆徳道かづみ50句「四十歳のカメレオン」より抜粋

虹色や性は聖なる生である
あたしの味方ドン・ペリニョンの細い泡
泣き出した男 懺悔が好きらしい
万華鏡あたしらしさのあたしって
カメレオンなりたい君になれたのか
泣け叫べ傷つけそして立てあたし
走るだけ走れうさぎはいつか勝つ

◆徳道かづみ50句を読む「あ から始まる」新井恵子 より

  虹色や性は聖なる生である
最初の句。大らかで素朴で純粋な詠みぶりだ。作者の本質のように思う。
そして次の句、「ゆらゆらとブランコ これは愛ですか」から「あたしの味方ドン・ペリニョンの細い泡」。この句群では、恋をしているときの弱さと、弱さを底辺に持った強がりを交互に見せてくる。揺らいでいる。男性のことはよく分からないけれど、女性であればこの揺らぎは共感できるところではないだろうか。(後略)

◆徳道かづみさんインタビューより

●今回、何故「書く」ということを始め、それを「発表する」ことになったか、ということを「挑発的に!」語ってみたい、ということでした。縦横無尽、斬捨て御免!?、で存分に、どうぞ!

ワタクシ、「書く」という行為はすごく恥ずかしいことで、それを更に他人に「読まれる」ということは、とてつもない赤っ恥だと思っていたんですよ。でも、だからこそ、現在、句を発表する時には「読まれる」ということを、意識しています。
 自分の感情を出すことが苦手だったから、書くことで解消していたんですね。実際は、悔しいことは悔しいと言いたいし、甘えたい時には甘えたいのに上手く出来ない。実際、自分の感情を表すなんて、日常的に表せばいいことじゃないですか。なのに、それが出来なくて書いていることが恥ずかしい、と。(中略)
だから、単に「書きたいから書いた」レベルのものは発表すべきではないと思うんです。新子先生がよく仰られていた「それは日記に書いておきなさい」というヤツで。
 他の方がどのように「書く」ということと対峙されているのかは分からないですが、発表する以上は、なんらかの感情を読み手に感じさせなければ、自己満足で終わってしまうのではないかと。
 もちろん、読み手のうちには自分自身も含まれます。なので自己満足でも良いとは思いますが、せっかく「発表」する以上は他者に「読ませる」という姿勢を持つべきじゃないか、と思うんです。

*毎回、会員誌友の中から「この人に会いたい」という人にフォーカスしてご紹介する作家紹介。自選50句、作品鑑賞、インタビューにより、たっぷりページを割いて川柳作家の素顔をご紹介いたします。

45号「群舞」より

非常ボタン押せばわたしの笑い声 金子喜代
いい夏でしたいっぱい汗になりました 安井茂樹
ふれあいのふの字がふっとやわらかい 前田邦子
ブランコを漕いで夜空に逃避行 上藤多織
梅雨晴れ間白内障にメス入れる 岸本きよの
雷が抜けるギックリ腰なのだ 加島 修
脇役を弁えているプチトマト 伊藤玲子
誘惑の導眠剤とにらみ合い 山口こたい
せめるまい忘れな草の色も褪せ 近藤ゆかり
したたかをペパーミントでコーティング 道家えい子

     

ほか 会員・誌友82名

*「群舞」は、会員・誌友各自の投句(5句まで)から、選者(夕 凪子)の選により選び抜かれた作品を掲載。
選後評も併せて掲載しています。

45号「群像」より

秋田 石垣 健
捉われず生きて無頼の風となる
指先に危機一髪をぶら下げる
玉音に触れて音痴となりにけり
水欲しや欲しや無音の骨が哭く
蝶の夢捨てて毛虫のままで死ぬ

兵庫 中川 浩
脱皮すること下手くそで人という
ハモニカの四角い窓の昭和の子
しあわせの真ん中にいた写真の子
今此処にしか戻れないブーメラン
アステアのステップ水面に通り雨

兵庫 宮 あき子
秋九月犇めく屋根のささめごと
教会の分裂痛い百舌猛る
百舌笑うほらにんげんが又転ぶ
二心しかと聞いてたモズでした
とりこし苦労扁桃腺が赤くなる

大阪 小原由佳
シンプルの少し手前の中年期
蛍飼う人のかたちをしたいのち
八月の記録忘れを詫びている
献血の血は悪い顔しておらず
ハイハイと手を挙げ歴史始まった

東京 金子喜代
花火果て素肌に残る火の匂い
前髪を切って正しい眉の位置
水平線 死は漠漠と此処に在り
口ずさむ途切れ途切れの子守唄
まどろみの真っ只中へ蝉墜ちる

福島 岡部房子
特別な武骨な夫の手打ち蕎麦
一分が立たぬと逸る夫の背
歪でもプライドだけは捨てられぬ
諍いを極度に嫌う青い鳥
母似だと言われ憤慨する娘

神奈川 若林よしえ
繰り返す自分に甘いお片付け
協議中あくび感染注意報
紛れてるうちは孤独も快適で
二つ程国境がある屋根の下
耳に手をあてて本音を聞いている

 ほか 会員58名

*「群像」は、会員自選作品のコーナーです。毎回、各会員が自選5句を発表しています。

45号前号秀句十選

前号秀句十選 近藤ゆかり選

曲がり角曲がらずにゆく誕生日    中川 浩
君だけにと電話が二回かかる午後   野上藪蔵
少しずつ妥協始めた庭の石      別所花梨
留守電に五七五で入れるひと     門前喜康
うっかりの一言地球駆け巡る     川本 畔
これは立派な病気だと医者が言う   沢井 啓
鞄から青葉溢れる頃のこと      新井恵子
さみしさがキリンの首の長さまで   前田邦子
もう二度と来るなと三度言われけり  小林康浩
サラサラの砂になるまで考える    渡辺美輪

前号秀句十選 富田房成選

制服の少女ひそかに森を飼う     新井恵子
母娘からしたたりおちてゆく時間   前田邦子
夏茶碗 今頃盛りが高くなる     川本 畔
前科者ですが踊ってくれますか    小林康浩
愛の便りが来そうで外に出られない  中野文拡
ためらいを見ていたように閉まるドア 門田 浩
明方は湯桶積まれた孤独感      杣  游
朝ごはん 少し汚れた作業着で    岸本きよの
見えているところばかりを拭いている 惣木幸子
上手に生きる切符失くしたみたいだな 香月みき

前号この一句 中川千都子選

風船は割れたよそれを言いに来た  中川 浩
嬉しくて明日に飛び散る化粧水    小原由佳
ためらいを見ていたように閉まるドア 門田 浩
ただひとり自分自身になりましょう   加島 修
万緑を受けて立つかに車椅子     上藤多織
六月の恋もタオルも生乾き       渡辺美輪
制服の少女ひそかに森を飼う     新井恵子
母さんの日傘が先へ先へ先へ行く  前田邦子
血を売るも詩を売るも似たようなもの 小林康浩
鱗粉をこぼしつつ脱ぐ藍浴衣     金子喜代

前号秀句十選 新井恵子選

風船は割れたよそれを言いに来た   中川 浩
階段が揺れる最後の二三段      野上藪蔵
へその緒がからまったまま生きている 香月みき
寂しさが左の肩で揺れている      田村 尋
ためらいを見ていたように閉まるドア 門田 浩
最初から空洞だったラクダ瘤      道家えい子
義理という気持ちの乗らぬ舟に乗る 梅田 旬
石の覚悟で石のオブジェは立っている 上藤多織
海にでも行こう崖で勝負しよう      佐渡真紀子
淋しいと横にあなたが来る鏡      中野文擴

前号秀句十選  中野文擴選

再会の相合傘にある脆さ       杉山昌善
切り取ってたぶんなくしてしまうもの 久保田 紺
殺されず殺さず少年兵生きる     石垣 健
あたしの死あたしらしさを捨てたら死 徳道かづみ
巨星墜つ静かに群れは散って行く   近藤良樹
花はいいカレー備えよ仏壇に     穴原明司
あと何度テレビ点けては消すのだろ 門田 浩
せがまれて雨の思い出連れて来る  芳野寛子
次はぼく 通夜ふるまいの酒の味   杣  游
慈雨盾に骨を休める昼の酒      石田一郎

*「前号秀句十選」は、前号掲載の会員自選作品「群像」から毎回5人の選者が各10句を選び、短いコメントと共にその句を鑑賞するコーナーです。5人の選者の選とコメントの個性をお楽しみください。

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