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46号その他の記事

◆月の子の風景(17)「そしての恋や恋」 茉莉亜まり

 六郎こと大野進が川柳作家時実新子とはじめて出会ったのが昭和53年8月24日。33年後のまさにその日に、六郎はこの世を去ることになるのだが、この日の後の運命をつゆ知ることのない二人は、編集者であり出版社たいまつ社の社長と川柳作家として最初の出会いを果たした。(後略)

*川柳作家・時実新子の人生を、新子の作品を通して読み解く不定期連載「月の子の風景」。今回は編集者であり後に人生を共にする夫となる曽我六郎(大野進)との出会いと二人の恋を描きます。

◆川柳人物辞典(16)西島○丸

 仏ただにこやかに居る恐ろしさ
 電柱を抜くんではない酔っている
 仮位牌少年雑誌供えられ

*川柳作家の代表作とその人生をコンパクトにまとめた「川柳人物辞典」。今回は僧侶であり多作家として知られた西島○丸をご紹介します。

ほかにもたくさんのエッセイや読み物があります。
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46号作家紹介・平尾正人

◆平尾正人50句「また明日」より抜粋

頂点という深すぎる落とし穴
雨が降り始めて一人だと気付く
漏水をしているらしい胸辺り
まあこんなものかと見てる三人目
曖昧にしておく一つ屋根の下
深海をダブルクリックしてしまう
さよならに続いてほしいまた明日

◆平尾正人50句「また明日」を読む 「穏やかに着地」 小林康浩 より

病気だというためにある正常値
 実の医師によるこの告発(?)を、一被検者たる筆者としてはとても心丈夫に受け止める。健康診断結果には、まるで試験の正答のごとく正常値の範囲が示されており、そこに入るかはみ出るかの一喜一憂はさながら天国と地獄。無機質に表記される↑や↓の烙印へ、正人先生なら血を通わせてくれそうである。(後略)

◆平尾正人さんインタビューより

●小児科医を志したきっかけは何ですか?

 高校(鳥取西高校)の一年生から二年生に進級する時、友人みんなが理系を選択したので、私も何も考えずに理系を選びましたが、物理・数学は苦手で、好きなのは現代国語だけという変な理系の高校生でした。しかも担任が物理の先生でしたから、申し訳ない気持ちになりましたね。三年になって進路を決める時も、どうしても工学部や理学部というイメージがわかなくて、一番理系でなさそうな学部ということで医学部を選択したんです。

●え?そうなんですか?医学部って理系っていうイメージですが。

 そう思うでしょう? でも医学部って全然理系じゃないですよ。(中略)学部の卒業後に進路を決める際も、とにかくメスを持ちたくないという思いがあってね。だって傷を縫うのはいいけど、メスで切り開くなんてとんでもない! それで一番メスから遠いということで小児科を選んだんです。(後略)


*毎回、会員誌友の中から「この人に会いたい」という人にフォーカスしてご紹介する作家紹介。自選50句、作品鑑賞、インタビューにより、たっぷりページを割いて川柳作家の素顔をご紹介いたします。

46号「群舞」より


はじめから被害者として歌い出す  小林康浩
聞き役に回りパンパンふくらはぎ   金子喜代
ボロボロになったキャベツでありますが 安井茂樹
空に雲地に背徳のおとこたち  石垣 健
臆病な私を照らし出す月夜   香月みき
月光へ淋しき窓を開け放つ   中野文擴
その手にも乗って笑顔をしてやろう 米澤久男
井戸端は昔のままという噂   西村良子 
歪む月ああ今生の露天風呂  近藤良樹
あの頃を閉じ込めようとまだ足掻く  難波康子
休止符を並べてソナタ作ってる  武田順一
アブサンを二杯なんとかなるでしょう  徳道かづみ
はっきりとわたしひとりの茜色   惣木幸子
スーパームーン私の秘密知っている   北井宏江
ピカピカに磨くたっぷり湯に浸かる   天藤秀子
待たされて風邪をいただき帰される  宮本草子
赤い羽根付けてる人を信じない    小川敦子
糾弾の人さし指が白くなる   若林よしえ
握手はできぬ中途半端な年だから  田中敦子
ドアノブを触れれば嘘が放電し   大江多仲

ほか 会員・誌友82名

*「群舞」は、会員・誌友各自の投句(5句まで)から、選者(夕 凪子)の選により選び抜かれた作品を掲載。
選後評も併せて掲載しています。

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46号「群像」より

群像 2015年11月

大阪 香月みき
やさしさに慣れずに踏んだ水たまり
落第をした羽のまま空を飛ぶ
どうしても変わりたかった胸の青
強くなれ哀しくなれと降る落葉
秋の底ひとりぼっちが響き出す

東京 徳道かづみ
ファの音を思い出せないピアニスト
転がってジャリもまんまる月に似る
パセリの美学 真緑でいる
煮くずれてからのかぼちゃの自己主張
さよならの先に待つのもさようなら

大阪 小林康浩
台風の残響へペコちゃん揺れる
アメーバに言い負かされて夕の鐘
チビ太にはおでん母にはさつまいも
辞めた会社が今も私を処刑する
大切な矢を持ち帰る古戦場

滋賀 安井茂樹
だぶだぶのズボンと秋になっている
平凡な日々を笑っているカラス
秋ですねどこに触れても泣きそうで
ボクの勲章いっぱい付けて草の種
紅葉黄葉まだかまだかとやかましい

香川 門田 浩
行き先を探しあぐねている夜風
堕天使の声さえ来ない長夜かな
どうしても今日の歩幅が決まらない
曇りのち晴れ嘘のない女性といる
無事生還この世の音が聞こえ出す

熊本 野上藪蔵
一人居て雲の香りを吸えば秋
筋トレが心にも少しの馬力
美味しさの匂いを嗅いで一人旅
いつもの無人駅にそのままの君
思い出を吸っては風にことづける

青森 梅田 旬
強欲を諫めチクリと栗のイガ
朝食は夫でしてと肥えた蜘蛛
移し合う不機嫌保菌者はわたし
明日こそと思える明日が散る落ち葉
活字追うトロリ睡魔も後を追う

香川 津村 華
切り株のいつしか鮮やかな命
生も死もサイトで答探す僕
七光りなくても強い子に育ち
それぞれの個性を持っているカード
何も彼も滅多切りする料理好き

ほか 会員57名

*「群像」は、会員自選作品のコーナーです。毎回、各会員が自選5句を発表しています。

46号前号秀句十選

前号秀句十選 近藤ゆかり選

指先に危機一髪をぶら下げる  石垣 健
長崎忌二分遅れて鳴る時計   小川敦子
煽てには乗るものと決め茄子胡瓜 津村 華
又いつか君に会いたい深海魚  松本光江
ゴム紐がうっかり伸びて独り者  富田房成
カーテンを水色に替え天寿まで  丸本うらら
恥かいた日の慰めや蘭匂う   芳野寛子
好きにせい枕の中の父の声   上藤多織
メロン届く義理の衣を着せられて  杉浦まりこ
ごはん粒 新子のまぼろし拾ってる 小木曽隆平

前号秀句十選 新井惠子選

ハモニカの四角い窓の昭和の子  中川 浩
永遠に未完なんだとひと眠り    穴原明司
夏雲に跳び乗るキリンの首借りて 門田 浩
前髪を切って正しい眉の位置   金子喜代
ないしょだが大海原は裏にある  富田房成
踏み跡を辿ってゆくとなつかしい  安井茂樹
走る走るガラスの靴を履きつぶし 佐渡真紀子
「おかわり」と闇へ茶碗を突き出せり 小林康浩
引き出しを開けたら痛い物が出た  別所花梨
やすらかな地球に鐘が鳴っている  加島 修

前号秀句十選 中川千都子選

沈黙を救ってくれた蝉しぐれ   田村尋
痛いからと何度休んだことだろう  野上藪蔵
ゴム紐がうっかり伸びて独り者   富田房成
再会があるかも知れぬシャツを買う  杣 游
ハイハイと手を挙げ歴史始まった  小原由佳
病む母の枕の位置がずれて来る   別所花梨
泣けば空叫べば海の青になる    香月みき
棒になるシオカラトンボ止まらせて  安井茂樹
粕漬けにされたメロンもメロンです 杉浦まりこ
ああみんなひとりぽっちになっている 加島修


秀句十選     富田房成 選


前髪を切って正しい眉の位置       金子喜代
バラ園の中ふっと孤独がオンになる   岸本きよの
待つことに慣れて鳴かないホトトギス  宇田ミドリ
のらりくらり交わし上手なおぼろ月    小西松甫
粕漬けにされたメロンもメロンです   杉浦まりこ
わたくしを見放して立つ影法師      渡辺美輪
どっちでもいいと答えて困らせる     梅田 旬
シンプルの少し手前の中年期       小原由佳
積み上げた壁がこちらに倒れそう    佐渡真紀子
まだ語りきれぬものあり傘を干す     川本 畔


前号秀句十選 中野文擴

捉われず生きて無頼の風となる 石垣 健
どこを見て話せばわたしらしいのか 宮本草子
正座して義父のシベリア時代聞く 大田牧子
滝の音夢に溶け入る旅の宿 穴原明司
「夕焼け小焼け」帰れない子が歌ってる 岸本きよの
まだ語りきれぬものあり傘を干す 川本 畔
明日には破ると思う酒を断つ 近藤 良樹
三日月が刺さった夜のまま明ける 佐渡真紀子
やすらかな地球に鐘が鳴っている 加島 修
裏木戸を抜けて銀河へ迷い込む  前田邦子

*「前号秀句十選」は、前号掲載の会員自選作品「群像」から毎回5人の選者が各10句を選び、短いコメントと共にその句を鑑賞するコーナーです。5人の選者の選とコメントの個性をお楽しみください。


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