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48号その他の記事

◆特集 二つの震災

あいまいな記憶がふたつ阪神忌  前田邦子
手つかずのままの瓦礫が胃の底に  浮 千草
地震速報聞くたび今も揺れる闇  岸本きよの
覚悟して生きてゆきます地震国  杉浦まりこ
だんだんと地震の恐怖遠ざかる  宇田ミドリ
帰れない土地茫茫と草は哭く  茉莉亜まり
こんな日もお腹はすくし会いたいし 渡辺美輪
復興のふの字は風船のふの字   夕 凪子
今日もまた胸に津波の押し寄せる 中野文擴

*阪神淡路大震災と東日本大震災。二つの震災をめぐる想いを、今年も会員誌友のみなさんに詠んでいただきました。


◆特別寄稿「進まない復興」 浮 千草

 東日本大震災から、まもなく五年。
 震災の直後は、見慣れた風景が根こそぎ津波で失われてしまったことに衝撃を受けた。しかし、瓦礫の山もヘドロもすっかり片付けられ、壊れた建物も撤去された。道路も、岸壁も橋も、きれいに直された今、更地のここに元は何があったのか、もう想い出すこともできない。(中略)
 あの震災の翌日、自宅の壁が崩れ落ちた仙台の親戚三人が、わが家へと避難してきた。うちの三女の、義理の両親とおばあさんだが、お父さんは肺癌で自宅療養中。おばあさんはアルツハイマーで足が不自由。避難所はとても無理だった。(後略)


*東日本大震災から五年。宮城県塩竃市在住の誌友・浮千草さんに、今の想いを綴ってもらいました。

 

◆川柳の風景

  おでん屋のおやじ達人的微笑  徳道かづみ
三十代の頃、飲むのはもっぱらバーだった。大人ぶりたい季節でもあったのだろう。
常連となった店もあり、そこで様々なカクテルや酒の銘柄、滅多に入手出来ない珍品の味を覚えた。
そして現在。たどり着いたのは「居酒屋」である。(後略)

  この世には未練残さぬよう老いる  片山浩葉
生まれることも死ぬことも自分では選ぶことが出来ない。ただ、どのように生きるかはある程度選ぶことができる。まずは人としてこの世に送り出してくれた両親に感謝である。(後略)

*会員・誌友が自句一句と共に自由に語るコーナー「川柳の風景」。

ほかにもたくさんのエッセイや読み物があります。
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48号作家紹介・鈴木厚子

◆鈴木厚子50句「春よ来い」より抜粋

笑ってるあなたの側の風が好き
妥協したにぎり拳の爪の跡
鍵穴の向うで母は生きている
おしどりの仮面時々ずり落ちる
一振りの塩人間も甘くなる
しばらくは留守に飛べ飛べ水の妻
脱水機かけた言葉がぎこちない
生き恥をさらすパパンと手アイロン

◆鈴木厚子50句を読む
「逆光へ立たす」山口亜都子 より

厚子さんの人との関わりかたを拝見。
  一振りの塩人間も甘くなる
加減ですね。甘さだけではしまらない。その塩を持たない。当然加減もわからない。わたしです。だから人嫌い。一振りすると美味しいですか? 送ってください。着払いでいいです。流水を煮詰めた塩とか? それは効果がありそうです。絶対売れます。(後略)

◆鈴木厚子さんインタビュー

●札幌、北海道の川柳事情についてお聞きしたいのですが。

私が18年前札幌川柳社に入った時は40代でした。それ以降時間も経ちましたが、私より年下の人が入ったのは10名に満たないです。入っても来ても定年してからの人が多く、どの方も年上でした。今では私も年をとったものですから同年代になってきました。若い方の川柳人口を増やしたいなあと常々思っているのですが…。
北海道大会を開くにも、地方も高齢化しており、来年以降は札幌が担当しなければならない状況です。(後略)


*毎回、会員誌友の中から「この人に会いたい」という人にフォーカスしてご紹介する作家紹介。自選50句、作品鑑賞、インタビューにより、たっぷりページを割いて川柳作家の素顔をご紹介いたします。

48号「群舞」より

群舞  夕 凪子選  2016年3月

花言葉そっと枯野に置いてきた   前田邦子
わたくしに拒否権はなし冬の海   小川敦子
朝帰り勇猛果敢であったころ     中川 浩
節分の豆よ無邪気にころがって   宮 あき子
師よ 今もあたしはあたしなのですか 徳道かづみ
我が鳩の哀しいまでに媚びて飛ぶ  小林康浩
雪解けを過ぎたら君は他人です   一橋悠実
その人の妻より訃報じょんがらよ   近藤ゆかり
さらさらと櫛の目通る素直な日    太田牧子
残り火の燻ぶるようなジャズを聴く  黒田 俊
何を見て跳ねよう今日の水たまり  山口亜都子
カニを買う愚痴先送りする今夜   天藤秀子
猫じゃらし 笑わせるんじゃありません 広瀬鮎美
白寿まで達者で生きる風を待つ    上月 長

ほか 会員誌友87名

*「群舞」は、会員・誌友各自の投句(5句まで)から、選者(夕 凪子)の選により選び抜かれた作品を掲載。
選後評も併せて掲載しています。

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48号「群像」より

群像 2016年3月

東京 徳道かづみ
逝く人へ雪は静かに降りそそぐ
四捨五入すれば淋しくない別れ
求めれば結論は出る冬の月
低音で笑え 善人止めようぜ
明日は明日今日の天気は晴れである

神奈川 近藤良樹
オチの無い落語を聴いている葬夜
人生はこれだと決めて駱駝の背
ライバルの後塵を浴びちりぬるを
先行の友人を追うラストラン
空想の旅へレンゲ菜の花風温く

大阪 小原由佳
型抜きの通りに抜けてゆく言葉
斜め前方不幸を避ける勇気なし
振り向くと代わりの人が弾くピアノ
透明な人をみんなで分かち合う
旅立ちの町に手垢と足跡と

大阪 松本光江
願いごと届いたんだねおかあさん
金婚の愛は山ほどああ夫婦
力量を問われ私の四苦八苦
ブランドの服着て犬は畏まる
カレンダー埋める嬉しいメールくる

神奈川 杉山昌善
そのうちに読点となる浅い傷
本心を問われて黙秘する介護
喜寿となり月に吠えても届かない
懐の焼き芋が言う 明日がある
風神雷神 遊ぶ覚悟を我に問う

兵庫 前田邦子
ジグザグの心で渡る丸木橋
散らかった不安を固め芯にする
昨日より少しするどくなっている
母さんがかきまぜている孤独感
空っぽの檻が私の帰る場所

島根 別所花梨
つぶやきがシャボンになって澄みわたる
ドタキャンをされて静かに澄んだ水
喫茶店重い言葉を聞く薄暮
重い心を引きずり寺にたどり着く
洋式にあこがれている股関節

ほか 会員52名

*「群像」は、会員自選作品のコーナーです。毎回、各会員が自選5句を発表しています。

48号前号秀句十選

前号秀句十選  近藤ゆかり選

両方で叱られている伝書鳩      小林康浩
義母の死に顔パフォーマンスですか 別所花梨
私より長寿の電球買いに行く     門前喜康
嫌いだと聞いてたミカン失せている 川本 畔
招待状届く菩薩の顔をして      津村 華
引替えに視力を呉れと神もエゴ   富田房成
悠久へ紙ヒコーキになったメモ   金子喜代
私の三大ニュースなら言える    太田牧子
好きでしたの「た」の字が僕の肩たたく 中野文擴
一年の終わりに春がやってくる     渡辺美輪

前号秀句十選       新井恵子選

指先にやわらかいままある記憶      香月みき
樹のように一つになって生きるんだ    加島 修
色々とあったけれどもけむりだな     中川 浩
俺でさえ俺を好きにはなれぬのに     穴原明司
なるようになって今日の眼を閉じる    芳野寛子
海原へ広げるシーツ父が臥す       金子喜代
目の端で掴まえられて動けない      宮本草子
君のいる穴にぎゅうぎゅう詰まります   佐渡真紀子
待っている流れる音をさせながら     夕 凪子
冠省中略この身を忍ばせてかしこ     茉莉亜まり


前号秀句十選  中川千都子選

よそゆきの顔もこれまで豆跳ねる    門田 浩
指先にやわらかいままある記憶     香月みき
他の事考えていたメモ用紙       若林よしえ
おにぎりとお茶で何とかなるでしょう  加島 修
吸殻をポイと男の削り滓         中川 浩
初雪のようにふわりと喪状くる     宮本草子
よっこらしょ人の下ろした荷をかつぐ  小西松甫
輪廻への扉開けば花吹雪       茉莉亜まり
イルミネーションきらきら全部嘘でした 渡辺美輪
ゆっさりと群れを離れる老いた象    小林康浩


前号秀句十選   富田房成選

もう少しだけ役に立ちたい枯尾花   岸本きよの
若過ぎる遺影に住職が笑う      別所花梨
淋しさよ海の詩を書く地下酒場    井上青柿
スローテンポについてゆけない亀もいる 杉浦まりこ
私より長寿の電球買いに行く     門前喜康
干支のこと思い出してる十二月   太田牧子
要る時は要る要らない時も要ると言う 小林康浩
他の事考えていたメモ用紙       若林よしえ
私の知らない角を子は曲る      宮本草子
魔物が棲む山懐に架かる虹     岡部房子


前号秀句十選  中野文擴選

涙もろくなった私が好きである     安井茂樹
ゆっさりと群れを離れる老いた象   小林康浩
定期入れセピア色した原節子     近藤良樹
きらきらと泣くのよ 星が降るように  香月みき
淋しさよ海の詩を書く地下酒場     井上青柿
初恋のレストランだと妻誘う      門前喜康
ふるさとの話をしよう赤とんぼ    松本光江
赤ちゃんを人に育てる子守唄    穴原明司
青葉からわくら葉までの五十年   石垣 健
私の知らない角を子は曲る     宮本草子

*「前号秀句十選」は、前号掲載の会員自選作品「群像」から毎回5人の選者が各10句を選び、短いコメントと共にその句を鑑賞するコーナーです。5人の選者の選とコメントの個性をお楽しみください。

48号目次

現代川柳48号(2016年3月)目次

◆前号秀句十選
近藤ゆかり・富田房成・中川千都子・新井恵子・中野文擴

◆川柳作品
・群像 (会員自選作品)
・群舞 (会員・誌友投句作品、夕 凪子選)
・誌上句会「生きる」 岡田千加子選
・人間の目社会の目 山河舞句選

・誌上互選句会 第38回「釘」結果発表
・「釘」に寄せられたコメント
 ・第39回「呼ぶ」投句一覧

・初心者講座「港」 渡辺美輪選

◆作家紹介・鈴木厚子
・鈴木厚子50句「春よ来い」
・鈴木厚子50句を読む  山口亜都子
・鈴木厚子さんインタビュー

◆特集 二つの震災

◆連載エッセイ
・古川柳かづみ読み(23)「母の手を握って…」徳道かづみ
・ときめき地図(23)「いちばん楽しい時間」中川千都子
・小児科の窓から(12)「新病棟」平尾正人
・こん・紺・コラム(9)「旅」 久保田 紺
・月の子の風景(18)「神と仏とその向こう」 茉莉亜まり

◆会員リレーエッセイ
・一期白書~出会い・出合い・出逢い~
 小川敦子・道家えい子・難波康子

・川柳の風景
 徳道かづみ・片山浩葉

◆川柳人物辞典(18)須崎豆秋

◆わたしの選んだ前号この一句
 吉田利秋・前田邦子・香月みき・小原由佳

◆さようなら久保田紺さん

◆47号を読んで 木割大雄

◆往復メール 永遠屋だより

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